ファインダーの中の世界
カメラはすばらしい。レンズの向こうの、どんな大きな風景もドラマも、小さなファインダーの中にちゃんと納まる。 そして、シャッターの乾いた音と同時に、時間も空間も切り取られて、1枚の四角な写真となる。
私は、こうしたカメラの魔法のとりことなってしまった。あれは中学1年の夏休みのことだった。10人の友だちと、ペダルをふんで仏通寺に遊んだ。清流に足をつけて写っている1枚の写真の中に、いつ見ても変わらぬ青春の歓喜と友情が、私の情熱を呼び興す。
人生の空模様、いつも快晴ばかりではない。私は、かつて病床に親しんだ時期に暗く沈んだ世界をさまよった。その時も、カメラだけは常に手もとにおき、ファインダーという名の視点から人生を眺めた。角度を変えて物を見るということは、1つの新しい世界を送ることであり、いわば人生を2倍生きるといえばオバーな表現かもしれないが私はそう思う。 以上好き勝手なことを申しましたが、作品の方はごらん下さいというのも気恥ずかしい感じです。
ただカメラを手にして自分の気のすむまで挑戦したいというわがままを、だまってみてくれてた主人と子供にお礼の気持ちを捧げたい。また、気まぐれな私にお付き合い下った多くの悪友に感謝し、お忙しい中を、私の拙い作品に足を運んで下さった皆様方に心よりお礼申し上げ、改めて今後ともよろしくと心をこめてごあいさつ申し上げます。
1982年 新春
坂井原梅寿苑にて 個展開催の日に
生 田 智 子 (写真展ごあいさつより)
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1月2,3日の2日間、坂井原梅寿園で写真の個展が催されました。その人は家庭の主婦、生田智子さんです。1月21日のNHKのミニ、ニュースでも紹介されたように、身近かな人達を主にしたポートレート60数点が展示され、それは大盛況でした。 生田さんは、中学生の頃からカメラを手にするようになり、どんな大きな風景も、ドラマも、小さなファインダーの中にちゃんと納まることのすばらしさにひかれたのが写真を撮るきっかけとか。 過去、中国新聞社を始め数々の写真コンテストに入賞されています。今後益々のご活躍を期待します。(久井町公報誌より) |